弁護士加藤英典のブログ

埼玉県所沢市の弁護士のブログです。

袴田事件第二次再審請求が審理終了

私が弁護団に加わっている袴田事件について、弁護人、検察官、請求人である袴田ひで子さんの意見を聴く手続が静岡地方裁判所で行われました。袴田ひで子さんの意見陳述は、逮捕から47年間という時間の重さを感じずにはいられない感動的なものでした。手続終了後、裁判所が審理の終結を宣言し、2008年4月に申立をした第二次再審請求が4年8か月に及ぶ審理を終えました。
これまで報道されている通り、第二次再審請求審で実施したDNA鑑定によって、犯行着衣とされてきた「5点の衣類」に付着している「犯人」の血液が袴田さんの血液ではないことが判明しました。袴田さんが真犯人ではないことは明らかです。
決定は、来春、おそらくは年度内になると思われます。裁判所の英断を待ちます。

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裁判は1分で終わります

先日のブログの通り、事務所から裁判所までは結構遠いのです。時間をかけて裁判所まで移動し、実際に裁判所でどれくらいの時間を過ごすかというと、事件の内容や手続によって異なります。
調停は長くなりがちです。離婚調停や遺産分割調停で複雑な案件ですと、裁判所で議論している内に何時間もたっていたということも珍しくはありません。
短時間に終わるのは、民事訴訟の弁論(いわゆる裁判)です。特に、第1回弁論はあっという間に終わります。
典型的な第1回弁論というは、次のようになります。
裁判官「開廷します。原告は訴状を陳述しますね?」
原告代理人「はい」
裁判官「被告は欠席していますが、答弁書が提出されていますので、これを擬制陳述します。被告の具体的な認否が出ていませんから、これが出てからということでいいですね?」
原告代理人「はい」
裁判官「では、次回期日を決めます。○月×日はいかがですか?」
原告代理人「差し支えです」
裁判官「では、○月△日は?」
原告代理人「その日は午後から東京で期日が・・・・・・。午前の早い時間であればお請けできます」
裁判官「△日の午前は裁判所が・・・・・・。その次、□日午後は?」
原告代理人「お請けできます」
裁判官「それでは、次回を○月□日午後1時10分に指定します。次回も弁論で、法廷はここです。」
原告代理人「はい」
大体、こんな感じです。事件の中身については、事前に当事者が言い分を記載した書面を提出しており、その内容が裁判官や当事者の頭の中には入っています。民事訴訟では、口頭主義の原則がとられおり、言い分は口頭で述べることになっていますが、書面の全文朗読をやっていると、時間がかかってしまいます。そこで、「陳述しますね」「はい」というやり取りをすることで、当事者がその書面の内容を口頭で述べた、ということにしています。これのどこが口頭主義なのだろうと疑問に思うこともなくはないのですが、そういうもののようです。
時間は1分もかかりません。往々にして、第1回弁論のもっとも大切な役割は、次の期日をいつにするかを決めることになります。
依頼者の方々は、裁判というとドラマで見る刑事訴訟を想像するのか、何となく弁論は何時間もかかるものというイメージを持っている方が少なくないようです。「1回目の裁判は何分もかかりません」と説明すると、驚かれることがあります。

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所沢から川越の裁判所は遠い

所沢で法律事務所をしていると、川越の裁判所に出頭することが多くなります。
所沢にも裁判所はあるのですが、所沢の裁判所は簡易裁判所しかありません。ここでは、争いの対象となっているお金やモノの価格が小さい事件しか扱えないことになっています。金額が大きい事件や家事事件(離婚事件や相続事件)となると、川越の裁判所(さいたま地方裁判所川越支部とさいたま家庭裁判所川越支部)でないと扱えません。そのため、所沢市内の事件でも、川越の裁判所でやることが多くなります。
所沢から川越の裁判所まで公共交通機関で移動しようとすると、結構遠いのです。まず、所沢駅から西武新宿線本川越駅までは電車で20分かかります。その後、本川越駅から川越の裁判所までが離れています。Googleマップでは所要時間が徒歩22分となっています。本川越駅前から裁判所近くまでのバスは出ているのですが、本数が多くはなく、駅前で待たされます。私の事務所からですと、電車の乗換やバスへの乗換で、1時間弱はみてます。自家用車で移動すればもっと早いのでしょうが、裁判所の駐車場は限られており、裁判所まで行ったはいいものの車を停められないという事態があり得るので、控えています。他の弁護士の中には、自家用車で裁判所に通うために、裁判所近くに月極駐車場を借りている方もいるようです。
所沢市川越市と比べると人口あたりの法律事務所の数が少ないのですが、その理由の一つには、裁判所まで遠いというのもあると思います。弁護士からすると、裁判所に近い場所に事務所があった方が何かと便利なのです。ただ、私は、事務所の場所を選ぶとき、裁判所までの近さはあまり考えませんでした。法律事務所から裁判所まで遠いかどうかというのは、弁護士にとっての事情であって、依頼する方々にとってはあまり関心がない事情です。それよりも、法律事務所が足りていない地域はどこか、弁護士に相談しようとする方が相談にきやすい場所はどこかということを考えました。

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