弁護士加藤英典のブログ

埼玉県所沢市の弁護士のブログです。

袴田事件即時抗告審決定

3月13日、袴田事件について、差戻後の即時抗告審の決定がなされました。差戻後の東京高等裁判所は、静岡地方裁判所の再審開始決定を支持し、検察官の即時抗告を棄却する決定をしました。
差戻後の即時抗告審では、味噌漬けになった血痕の色の問題が唯一の争点になっていました。東京高等裁判所は、弁護団の主張をほぼ全面的に認め、弁護団が提出したみそ漬け報告書は「1年以上みそ漬けされた5点の衣類の血痕には赤みが残らないことを認定できる新証拠といえる」とし、再審開始決定を支持しました。さらに、「ねつ造」という表現こそ避けていますが、「5点の衣類については、事件から相当期間経過した後に、A(※袴田巌さん)以外の第三者が1号タンク内に隠匿してみそ漬けにした可能性が否定できず(この第三者には捜査機関も含まれ、事実上捜査機関の者による可能性が極めて高いと思われる。)」という、捜査機関のねつ造があったことをほぼ認めました。弁護団からすると完全勝利といってよい内容です。
今後の関心は、検察官が特別抗告をするかに移っています。弁護人としては、検察官が特別抗告をして徒に再審開始決定の確定を遅らせることなく、再審公判に移行されることを願いします。検察官の立場から捜査機関によるねつ造という事実を受け入れ難いとしても、それは再審公判で主張するべきです。