弁護士加藤英典のブログ

埼玉県所沢市の弁護士のブログです。

袴田事件即時抗告審決定と映画『獄友』

袴田事件について、2018年6月11日に東京高裁の不当決定(原決定取消・再審請求棄却)がでてから、早2か月が経ちました。決定直後はその現実をにわかに受入れることができず、そうは言っても特別抗告申立期限は実質1週間しかないので、特別抗告申立書作成の作業をしなければならず、あっという間に時が過ぎていきました。報道の通り、弁護団は、6月18日には特別抗告申立をし、7月23日にはDNA鑑定に関する補充書も提出しました。弁護団としては、これまでの書面で既に東京高裁決定の不当性は明らかになったと考えていますが、最高裁の実情に鑑み、今後の特別審をどのように戦っていくかを議論しているところです。
ところで、去る8月10日、浦和パルコにて埼玉弁護士会主催の映画『獄友』上映会が開催されました。私も、スタッフとして参加してきました。
『獄友』は、狭山事件石川一雄さんを始めとする「冤罪被害者」の絆を描いたドキュメンタリー映画です。
ドキュメンタリー映画 「獄友」
上映会は大盛況で、上映が終了すると会場内から自然に拍手が湧き上がっていました。
『獄友』では、釈放後の袴田巌さんの日常生活も描かれていました。先日の東京高裁決定は、地裁の再審開始決定を取消しながら、なぜか拘置の執行停止の効力は維持しました。ですが、今後、最高裁が特別抗告申立を棄却するようなことがあれば、刑の執行停止は当然に効力を失い、巌さんは再び拘置されることになります。そのときには、巌さんは、映画で描かれているような浜松でのお姉さんとの生活を突然打ち切られ、再び東京拘置所の確定死刑囚の房に戻らなければなりません。
スクリーンに映し出されている巌さんの日常生活を守るために、これから私は何をするべきなのかを考えながら、映画を観ていました。