弁護士加藤英典のブログ

埼玉県所沢市の弁護士のブログです。

法廷傍聴ガイド

先日、知人が「裁判の傍聴をしてみたいが、何をどうしたらよいのかわからない」と言うので、東京の裁判所で待ち合わせをして、法廷傍聴の案内をしました。
知人のような方が他にもいるかもしれないと思い、簡単な法廷傍聴の案内を書いてみます。
なお、以下の案内は東京の裁判所(東京地方裁判所本庁)で傍聴することを前提に書いています。裁判所の実情は各裁判所で微妙に異なります。

どこに行けばよいの?

東京の裁判所は、地下鉄霞が関駅が最寄り駅です。霞が関駅を降りたら、A1出口から地上に出てください。A1出口を出て、1分程あるけば、東京の裁判所の正門があります。正門付近には人が集まって、ビラを配ったり、スピーカーを手に声を張り上げているので、すぐにわかると思います。

いつ行けばよいの?

東京の裁判所であれば、平日の何曜日に行っても構いません。
午前中の公判は午前10時開廷または午前11時開廷のことが多いので、可能であれば午前10時少し前に裁判所に着いた方がよいです。午後であれば、昼休み明けの早い時間に着いた方がよいです。

予約は要らないの?どの事件でも傍聴できるの?

事前予約は不要です。公開法廷ですから、原則としてどの事件も自由に傍聴できます。
例外は、傍聴券配布事件です。マスコミで大きく報道されている事件のように、傍聴希望者が多数になることが予想される事件は、傍聴券配布事件になります。この場合、事前に傍聴希望者を募って抽選を行い、当選した人に傍聴券を配布して、傍聴券を持っている人だけが傍聴できます。どのような事件が傍聴券配布事件になっているかは、各裁判所のホームページ等で事前に確認できます。

どんな服装で行けばよいの?

仕事で傍聴するわけではないのですから、スーツで行く必要はありません。私服で構いません。とはいえ、法廷は厳粛な場ですから、奇抜な服装や余りにもラフな服装は避けた方がよいでしょう。

裁判所に入るときの注意は?

東京の裁判所では、一般の方が建物内に入るときに手荷物検査があります。空港で飛行機に乗る前に受ける検査をイメージしてください。スムーズに入るために、余分な手荷物は持ってこない方がよいでしょう。

どのように事件を選ぶの?

裁判所に入ると広いロビーになっています。ロビのー奥にカウンターのような場所があり、そこに当日の開廷表一覧が置かれています。開廷表には、どの法廷でどのような事件の期日が行われるのかが記載されています。
開廷表一覧はいくつかあるのですが、初めてであれば東京地方裁判所刑事の開廷表を探して、その中で事件を探すとよいでしょう。

どんな事件を選べばよいの?

開廷表には、開始時刻・終了時刻、事件番号・事件名、被告人の氏名、審理予定、担当部係等が記載されています。
事件名を見れば、どのような事件なのかがおおよそわかります。関心がある事件を探してください。
審理予定を見れば、その事件の進行状況がわかります。「新件」は、その日が第1回公判期日ということです。「審理」は、第2回以降の公判期日で、前回の続きを審理するということです。「判決」は、既に審理を終えており、裁判所が被告人に対して判決を言渡すということです。初めてであれば、「新件」の事件を傍聴するとよいでしょう。
開始時刻・終了時刻を見て、どの事件を傍聴するのか当日の予定をたて、その場でメモをした方がよいでしょう。

法廷へ移動するには?

開廷表で事件を選んだら、法廷に向かってください。ロビーの奥に館内の案内がありますから、参考にしてください。
東京の裁判所では、法廷は上の階にありますから、エレベーターで上の階に上がります。時間帯によってはエレベーターがかなり混み合いますから、目当ての事件があるのであれば、時間には余裕をもって移動してください。
目的の階に着くと、エレベーターを降りたところにフロアマップがありますから、目的の法廷を探してください。各法廷の入口付近には開廷表がありますから、目当ての事件があるのか確認してください。
法廷の入口は、「検察官・弁護人用」の入口と「傍聴人用」の入口があります。「傍聴人用」の入口から入ってください。
入口のドアには小窓があります。小窓を開けると、法廷の中の様子を見ることができます。
開廷まで時間があるようですと、入口のドアに鍵がかかったままで、中に入れないことがあります。法廷の近くに一般用待合室がありますから、そこでお座りになってお待ちください。

法廷で気をつけることは?

法廷に入り、傍聴席に座ってください。空いている席がないときは、残念ながらその事件の傍聴はできません。立ち見は禁止されています。空いていれば、どこの席に座ってもよいことです。
法廷では携帯電話の音が鳴らないようにしてください。法廷内ではバイブレーションの音が響きますから、通常のマナーモードにするのではなく、サイレントマナーモードにするのか、電源をオフにしてください。
開廷前に裁判が入廷したときと閉廷するときには、傍聴人も起立して正面に礼をすることになっています。よくわからないときには、裁判所書記官の動きに合わせてください。
法廷では録音録画は禁止されています。メモをとることは構いません。また、法廷内の様子をスケッチすることは構わない。
法廷内では私語が禁止されています。一緒に行っている人と話すときには、ひそひそ声で話し、審理の邪魔にならないようにしてください。

食事や買物をするときは?

東京の裁判所は地下に食堂や喫茶室があります。エレベーターで地下に降りて、ご利用ください。先程まで法廷で見かけた裁判官や弁護士が近くのテーブルで食事していることもあります。
地下には、コンビニ(ファミリーマート東京高等裁判所店内店)もあります。