弁護士加藤英典のブログ

埼玉県所沢市の弁護士のブログです。

裁判は1分で終わります

先日のブログの通り、事務所から裁判所までは結構遠いのです。時間をかけて裁判所まで移動し、実際に裁判所でどれくらいの時間を過ごすかというと、事件の内容や手続によって異なります。
調停は長くなりがちです。離婚調停や遺産分割調停で複雑な案件ですと、裁判所で議論している内に何時間もたっていたということも珍しくはありません。
短時間に終わるのは、民事訴訟の弁論(いわゆる裁判)です。特に、第1回弁論はあっという間に終わります。
典型的な第1回弁論というは、次のようになります。
裁判官「開廷します。原告は訴状を陳述しますね?」
原告代理人「はい」
裁判官「被告は欠席していますが、答弁書が提出されていますので、これを擬制陳述します。被告の具体的な認否が出ていませんから、これが出てからということでいいですね?」
原告代理人「はい」
裁判官「では、次回期日を決めます。○月×日はいかがですか?」
原告代理人「差し支えです」
裁判官「では、○月△日は?」
原告代理人「その日は午後から東京で期日が・・・・・・。午前の早い時間であればお請けできます」
裁判官「△日の午前は裁判所が・・・・・・。その次、□日午後は?」
原告代理人「お請けできます」
裁判官「それでは、次回を○月□日午後1時10分に指定します。次回も弁論で、法廷はここです。」
原告代理人「はい」
大体、こんな感じです。事件の中身については、事前に当事者が言い分を記載した書面を提出しており、その内容が裁判官や当事者の頭の中には入っています。民事訴訟では、口頭主義の原則がとられおり、言い分は口頭で述べることになっていますが、書面の全文朗読をやっていると、時間がかかってしまいます。そこで、「陳述しますね」「はい」というやり取りをすることで、当事者がその書面の内容を口頭で述べた、ということにしています。これのどこが口頭主義なのだろうと疑問に思うこともなくはないのですが、そういうもののようです。
時間は1分もかかりません。往々にして、第1回弁論のもっとも大切な役割は、次の期日をいつにするかを決めることになります。
依頼者の方々は、裁判というとドラマで見る刑事訴訟を想像するのか、何となく弁論は何時間もかかるものというイメージを持っている方が少なくないようです。「1回目の裁判は何分もかかりません」と説明すると、驚かれることがあります。

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